「夜に飲む薬でも、翌朝の運転に影響する?」「注意書きが違うのはなぜ?」。服薬中の運転は、薬の説明書とご自身の状態の両方を確認することが大切です。まず診察で伝えたいこと、その後に注意書きが変わってきた背景を見ていきます。
運転する予定は、処方の前に伝えましょう

治療を続けながら仕事や通院をどう確保するかも、診察で相談できます。運転のために自己判断で薬を抜いたり、急にやめたりせず、通勤方法や勤務の調整も含めて考えます。
薬の「運転に関する注意」は、どう読みますか?
医療者向けの電子添文(薬の正式な説明書)には、運転に関する注意が記載されています。薬局でもらう説明書でも確認し、不明な点は薬剤師に聞いてください。
| 注意書きの内容 | 確認すること |
|---|---|
| 運転などに従事させない旨の記載 | 薬ごとの指示に従い、運転を避ける必要があります。眠気の自覚だけで判断しません。 |
| 適否を慎重に判断する旨の記載 | 医師が症状、薬の影響や併用薬などを確認します。眠気等があれば運転しません。 |
睡眠薬のほか、抗不安薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などにも運転への注意がある薬があります。同じ種類でも薬ごとに異なるため、名前を確認することが出発点です。
注意書きが変わってきた背景
日本精神神経学会は2014年のガイドラインなどで、安全な運転を守りながら患者さんの社会生活や権利にも配慮する必要性を示してきました。治療をやめれば解決するという問題ではなく、病状と治療の両方を見て考えます。
2016年には一部の抗うつ薬の注意書きが改訂され、学会は処方開始・増量時の確認や、眠気・めまいがあるときには運転しないことなどを改めて求めました。
2022年12月、厚生労働省から運転技能への影響を評価するガイドラインが通知され、2025年1月には判定の考え方を示す補遺が出されました。薬の影響を臨床試験などで確かめるための基準です。
ボルノレキサントでは、何が違うのでしょう?
ボルノレキサント(ボルズィ)は、2025年に承認された不眠症の薬です。電子添文では、患者さんの状態を十分に確認したうえで運転などの適否を慎重に判断し、眠気等があれば運転しないよう指導することとされています。
レンボレキサントなどにも運転への影響を調べた研究があります。ただし、研究全体の平均値と、個人への影響や国内の注意書きは同じものではありません。薬同士の優劣や運転の可否を、別々の試験だけで決めることはできません。
事故を防ぐために、診察で相談したいこと
薬の影響で正常な運転が難しい状態で運転すると、事故や法的責任につながります。責任の内容は運転時の状態や経緯で異なり、「薬を飲んでいた」という事実だけで一律に決まるものではありません。
- お薬手帳と、市販薬・頓服の名前
- 服用する時刻と、運転を始める時刻
- 前夜の睡眠時間、翌朝や日中の眠気・ふらつき
- 通勤や仕事で運転が必要な頻度、勤務の調整が可能か
運転への不安は次の処方まで我慢せず、かかりつけ医や薬剤師へお伝えください。病気と運転免許については、都道府県警察の安全運転相談窓口でも相談できます。
参考文献・出典を詳しく見る
- 日本精神神経学会:患者の自動車運転に関する精神科医のためのガイドライン
- 日本精神神経学会ほか:2016年の注意事項改訂に関する見解
- 厚生労働省:運転技能への影響評価ガイドライン
- 厚生労働省:2025年1月31日補遺
- PMDA:ボルズィ審査報告書
- 大正製薬:ボルズィ電子添文
- 警察庁:交通の方法に関する教則
- 警察庁:安全運転相談窓口
- Vermeeren et al. レンボレキサント服用翌朝の実車運転試験(2019)
内容確認:2026年9月29日
症状や治療の判断は診察で行います。ご自身の状態やお薬については、担当の医師にご相談ください。




