症状を知る
不眠症の症状|睡眠時間と日中の困りごとを確認
「8時間眠れない」という理由だけで、不眠症とは決まりません。日中の疲れや集中しづらさなど、困っていることもお聞かせください。
睡眠に必要な時間や環境があるのに、寝つきや睡眠の持続に困り、疲労、集中力の低下、気分の不調などにつながる状態を評価します。短時間睡眠でも本人に困りごとがない場合と、長く布団にいても休めない場合では、診療の考え方が異なります。[1]
ストレスや体調変化に伴う一時的な不眠もあります。慢性不眠症では、週3回以上・3か月以上という頻度や期間が診断上の目安になりますが、それまで受診を待つ必要はありません。生活への影響が大きければ早い段階から相談してください。[1]
症状を知る
疲れているのに眠れない理由|寝床で目がさえる仕組み
眠れないきっかけがなくなっても、夜への不安、時計の確認、長すぎる床上時間などが不眠を長引かせることがあります。疲れているのに緊張が抜けない、布団に入ると考え事が増えるという経験も、診察で大切にする情報です。[2]
睡眠は、起きていた時間に応じて高まる眠気と、体内時計の働きの影響を受けます。眠れない分を取り戻そうとして長く横になったり、昼寝を増やしたりすることが、その後の寝つきに影響する場合があります。どの習慣が関係しているかは記録を見ながら考えます。[2・3]
症状を知る
不眠の原因|ストレス・生活習慣・病気の影響
いびきや無呼吸、脚を動かしたくなる不快感、望む時刻に眠れないリズムのずれ、痛み、気分の落ち込みなどを確認します。飲酒やカフェイン、処方薬・市販薬が関係することもあります。不眠をすべてストレスのせいにせず、必要に応じてほかの診療科とも連携します。[3]
診察・検査を知る
不眠症の診察・検査|相談する内容と睡眠検査の必要性
まずは、寝つきや夜中の目覚め、翌日の体調を伺います。
眠りに入るまでの感覚、夜中に起きる回数、起床時刻、昼寝、休日の寝方を伺います。睡眠日誌には、おおよその時刻と翌日の状態を記録します。正確な分単位の測定を頑張りすぎるより、続けて全体の傾向を見ることが役立ちます。[2・3]
不眠の評価は問診が中心で、全員が一晩の眠りを記録する検査(PSG)を受けるわけではありません。呼吸の異常、睡眠中の動き、ほかの睡眠障害を疑う場合などに追加検査を検討します。スマートウォッチの睡眠段階の表示だけで、不眠症の診断や治療方針を決めることはできません。[3]


治療・その後を知る
受診前の準備|眠りと日中の困りごとをメモする
「眠れない」という感覚を、床に入る時刻、眠るまでの時間、途中で目が覚める回数、最終的に起きる時刻に分けて振り返ります。時計を何度も確認して厳密に測る必要はありません。翌朝、おおよその印象と日中の眠気・疲労感を書き留めるだけでも、睡眠のパターンを理解する助けになります。仕事のある日と休みの日、昼寝の有無も手がかりです。
治療目標は、毎晩同じ時間だけ眠ることや、途中で一度も目覚めないことだけではありません。睡眠への不安が軽くなる、日中の活動を続けられる、必要以上に長く寝床で過ごさずにすむ、といった変化も確かめます。改善と悪化を繰り返す時期には、きっかけと対処を整理します。薬の変更や減量も、その時点の生活状況と治療の反応を見ながら相談して進めます。[1・2]
受診時にお持ちいただくもの
服用中の薬やサプリメントが分かるもの、睡眠日誌、過去の検査結果があればお持ちください。
TREATMENT / 治療を知る
不眠症の治療
不眠症の治療には、眠りに関わる習慣や考え方を見直す方法と、薬を使う方法があります。ここでは、まず薬を使わない治療を紹介し、その後に睡眠薬の選び方や作用時間を説明します。実際の治療では、症状やご希望に合わせて組み合わせることもあります。
まずは、薬を使わない治療から
生活習慣の見直しに加え、眠りに関わる行動や考え方へ働きかける認知行動療法(CBT-I)があります。日々の工夫、CBT-Iを用いた治療用アプリの順にご紹介します。
治療・その後を知る
体系的な認知行動療法(CBT-I)について知りたい方はこちら →
不眠を改善する生活習慣|自分に合う工夫を選ぶ
まず起床時刻、昼間の活動、夕方以降のカフェイン、寝酒の習慣を振り返ります。無理に理想の睡眠時間を達成しようとせず、眠りと日中の調子を一緒に評価します。寝る前の過ごし方だけを変えても改善しないときは、原因や治療を見直す機会です。[1・2]

問診で寝る時刻を聞いたら、全員に「もっと早く寝ましょう」でよいですか?
こらこら、早寝競争ではないよ。眠れないまま寝床にいる時間が増えることもあるんだ。生活の工夫は大切だけれど、それだけで改善しない不眠には、医師と相談しながらアプリを使うCBT-Iなども考えていこう。
治療・その後を知る
当院の認知行動療法|治療用アプリMedcle
眠りに関わる習慣や考え方を見直す「不眠症の認知行動療法」があります。治療用アプリにも、この考え方を利用するものがあります。
CBT-Iを治療原理とする治療用アプリ「Medcle(メドクル)」について説明します。当院での導入・提供条件は、確定後にご案内します。医師の診察・管理のもと、ご自身のスマートフォンで睡眠を記録し、アプリの案内に沿って眠りに関わる習慣や考え方を見直していく治療です。[4・5]
治療期間は全9週間です。最初の1週間は睡眠について学び、睡眠日誌を入力します。その後の8週間は、朝・夕の振り返りを通して、寝床での過ごし方や就寝・起床時刻などを調整します。診察では記録と日中の状態を確認しながら治療を進めます。治療初期には眠気が強まることがあるため、運転や危険を伴う仕事についても事前にご相談ください。[4・5]
本ページでは「Medcle(メドクル)」と表記しています。正式な販売名は「サスメド 不眠障害用アプリ Medcle」です。医師の診療のもとで使う治療用アプリです。
Medcleを使える条件を確認する / 費用の目安を確認する
治療用アプリについての一般的な説明です。日々の眠りを整える一般的な考え方は、CBT-Iの生活ガイドでもお読みいただけます。
画像転載元:
© SUSMED, Inc.
Q. Medcleは誰でも使えますか?
医師が症状や持病、服薬、勤務形態を確認し、利用できるかを判断します。保険診療では、薬物療法が適さない、または薬物療法を希望しない軽症〜中等症の不眠障害の方が対象です。睡眠障害治療薬を服用中の方、精神疾患や中等度以上の身体疾患、ほかの睡眠障害がある方、夜勤・交代勤務の方などは、保険適用の対象外となります。[4]
Q. Medcleの費用は、保険の3割負担でいくらですか?
アプリ導入時の自己負担は、約7,650円が目安です。保険適用の条件を満たす場合の、アプリ代と導入時の指導管理料等を合計した概算です。初診料・再診料・検査料などは別途かかります。
計算の内訳は、アプリ代24,100円+指導管理料900円(90点)+初回の導入期加算500円(50点)=25,500円。その3割が7,650円です(1点=10円)。[4・6]
この金額は、9週間の通院にかかる費用すべてを含む総額ではありません。治療中の診察や指導管理などに応じて、別途自己負担が生じます。実際の窓口負担は診療内容や医療費助成などにより異なります。スマートフォンの通信料もご自身の負担となります。※2026年9月確認の公開情報に基づく目安です。
治療として使用できる条件と、保険が使える条件は同じではありません。服薬中の方も、アプリを使うために自己判断で薬を中止せずご相談ください。
生活リズムを整えても不眠が続くときは、眠りに関わる行動や考え方を見直す認知行動療法(CBT-I)が役立つことがあります。医師と相談しながら、スマートフォンのアプリを使って取り組む方法もあります。
2 / 薬による治療
不眠症の薬物療法|睡眠薬の選び方とやめ方
ここからは、薬による治療についてです。薬を選ぶときは、寝つきの悪さや夜中の目覚めに加え、作用の現れ方や続き方、翌朝への影響を確認します。まずは作用時間の考え方を知り、その後で薬の種類を見ていきましょう。
薬を検討する際は、寝つきと中途覚醒のどちらが主か、翌日の活動、年齢、転倒の危険、併用薬などを確認します。効いたかどうかは眠れた時間だけでなく、翌日の状態や副作用も含めて判断します。[3]
長く使用している薬を自己判断で急にやめると、薬の種類によっては不眠の悪化などが起こる場合があります。減量や変更は処方医と相談して進めます。Medcleには服薬状況などによる対象条件があるため、アプリの利用を希望する場合も、睡眠薬を自分で中止せずにご相談ください。[3・4]
薬を選ぶときは、年齢、転倒の経験、呼吸の病気、妊娠・授乳、ほかのお薬も確認します。効きづらいときも、すぐに増やす前に不眠の背景を見直します。今のお薬で生活が支えられている成果を大切にし、処方医と相談しながら調整します。
薬の種類から詳しい説明へ進む / 服薬中の相談事項を確認する

睡眠薬の「作用時間」を知る
睡眠薬には、短時間作用型や、比較的長く作用するものなどがあります。寝つきだけでなく、夜中の目覚めや翌朝の眠気も考えて選びます。作用時間だけで薬の適・不適が決まるわけではありません。
薬の説明に出てくるTmaxや半減期は、血液中での薬の動きを知るための数字です。眠れる時間そのものとは区別して、以下の図で読み方を確認しましょう。
作用時間を知る|Tmax・半減期・トラフ値の読み方
薬の特徴を比べる前に、説明に出てくる「時間の数字」を整理しましょう。これらは血液中での薬の動きを表す指標で、効き目の強さや眠れる時間そのものではありません。
お薬の説明では、Tmaxが1時間なら「飲んで1時間後に必ず眠れます!」と案内していいですか?
こらこら、イチ坊。眠りは時報どおりにはいかないよ。Tmaxは、薬を飲んでから血液中の薬の濃度がいちばん高くなるまでの時間なんだ。眠りにつくまでの時間とは別で、効き方にも個人差があるよ。
では、半減期が7時間なら「7時間はぐっすり、そこで薬もなくなります!」ですね?
ずこー! 半分が、いつの間にかゼロになってるよ。半減期は、血液中の薬の濃度が半分に減るまでの時間なんだ。7時間眠れるという保証でも、7時間で薬が完全になくなるという意味でもないよ。デエビゴのように約47時間という値があっても、その間ずっと眠り続けるわけではないんだ。
なるほど。じゃあ、お薬手帳を見て、数字が短い薬に全部そろえれば安心ですか?
数字は薬の特徴を知る手がかりになるよ。ただ、試験の条件は薬ごとに違うし、年齢や食事、肝臓の働き、飲み合わせでも変わるんだ。診察では、眠りがどう変わったか、翌朝に眠気が残らないかも確かめていこう。量や飲む時刻を変えたり、急にやめたりする前に、必ず相談してね。
血液中の薬は、増えてから少しずつ減ります
1回服用した後の模式図。特定の薬の実測値ではありません。
① Tmax:飲んでから、濃度が最大になるまで。
② 半減期:減少する段階で、濃度が半分になるまで。図は、血液中の薬の濃度が変化する様子を簡略化したものです。実際の薬では複数の段階で減少することがあり、電子添文の半減期をそのまま山の頂点からの時間とみなせるとは限りません。
山のあたり|作用と副作用
薬の濃度は効き方に関係しますが、濃度が最大の時刻と、効果が最大の時刻は必ずしも一致しません。濃度が高くなると作用や副作用が強まることもあるため、量・併用薬を確認します。
下降するところ|徐々に減る
濃度が下がるにつれて作用が弱まることがありますが、半減期になった瞬間に効果が切れるわけではありません。濃度が半分でも、効果が半分とは限りません。
翌朝|残り方を確認
翌朝まで薬の影響が残ると、眠気やふらつき、注意力の低下につながることがあります。半減期だけで持ち越しの有無は決められません。年齢、服用時刻、睡眠時間、併用薬なども一緒に確認します。
「トラフ値」は、どこの値?
トラフ値は、薬を繰り返し飲むときの、次の服用直前の血中濃度です。この図は1回服用した後の変化を示しているため、トラフ値は描いていません。薬の量は、眠りの改善や副作用も確かめながら医師が調整します。
参考|4種類のオレキシン受容体拮抗薬のTmax・半減期を見てみる(開く/閉じる)
国内電子添文の数値をまとめました。用量・対象者・投与方法など、試験条件の違いも合わせてご覧ください。
スボレキサント
ベルソムラ
Tmax 1時間 / 半減期 12.5時間
半減期の表示幅:0〜50時間の共通目盛り
20mg・単回投与/外国人健康成人16人。Tmaxは中央値、半減期は調和平均。
レンボレキサント
デエビゴ
Tmax 1.5時間 / 半減期 47.4時間
半減期の表示幅:0〜50時間の共通目盛り
10mg・14日間反復投与の14日目/日本人健康成人男性6人。Tmaxは中央値、半減期は平均値(最終消失相)。
ダリドレキサント
クービビック
Tmax 1.42時間 / 半減期 6.92時間
半減期の表示幅:0〜50時間の共通目盛り
50mg・投与1日目/日本人健康非高齢者6人。Tmax・半減期とも平均値。
ボルノレキサント
ボルズィ
Tmax 0.5時間 / 半減期 2.13時間
半減期の表示幅:0〜50時間の共通目盛り
10mg・単回投与/健康成人男性12人。Tmaxは中央値、半減期は平均値。
井上雄一先生らの総説では、4種類の薬の薬物動態を整理しています。半減期だけでなく、受容体への結合・解離なども作用の時間経過に関わります。論文中の数値と国内電子添文の値は、参照する試験などによって異なる場合があります。
閉じるときは、上の「参考」の見出しをもう一度タップしてください。
睡眠薬の種類から詳しく読む
薬の名前は「成分名(代表的な商品名)」でご紹介します。製品情報のリンク先には、医療関係者向けの説明も含まれます。
ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系は、まとめて「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と呼ばれます。
お薬手帳を確認するときは、薬の名前に加えて何を聞けばいいですか?
寝つきや夜中の目覚め、それと翌日の過ごしやすさだね。今の薬で良くなったことと、気になることを両方確認してほしい。
01 / 脳の興奮を抑えて、眠りを助ける
ベンゾジアゼピン系
作用時間の違う3つの薬を比べます。
「寝つくまでが長い」「眠れても途中で目が覚める」。同じ不眠症でも、困る時間帯は違います。ベンゾ系は脳の興奮を抑えるGABAの働きを強め、眠りを支える薬です。ここでは不眠症に使われる代表的な3剤を、作用時間の分類で紹介します。
超短時間型トリアゾラム
代表的な商品名:ハルシオン
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約1.2時間
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約2.9時間
試験条件:健康成人男性32人に0.5mgを1回投与した試験。いずれも平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
比較的速やかに体内から減るタイプで、寝つきの改善を考える際の選択肢です。電子添文の血中濃度の半減期は平均約2.9時間。短時間型でも、翌朝の眠気や記憶の抜けへの注意は必要です。
短時間型ブロチゾラム
代表的な商品名:レンドルミン
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約1〜1.5時間
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約7時間
試験条件:健康成人への経口投与時の値。レンドルミンD電子添文16.1に記載(通常錠との比較も掲載)。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
寝つきと夜間の眠りの状態を見ながら使う薬です。電子添文の半減期は約7時間。起床時に眠気が残らないか、夜間にふらつかないかも確認します。
中間作用型フルニトラゼパム
代表的な商品名:サイレース
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約45分(0.75時間)
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約21時間(21.2時間)
試験条件:健康成人男性48人に2mgを空腹時に1回投与。Tmaxは中央値、半減期は平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
上の2剤より体内に残る時間が長いタイプです。寝つきに加え、睡眠を保てるかも確認します。電子添文の健康成人での半減期は約21時間。翌日への持ち越しや、連用時の蓄積に配慮します。
「半減期」は、眠れる時間や薬の強さではありません。血液中の薬の濃度が半分になるまでの時間で、試験条件・年齢・肝機能・飲み合わせなどで変わります。上記はそれぞれの添文の代表値で、同じ条件で3剤を直接比較した数字ではありません。作用時間の分類だけで処方を選ぶこともできません。
共通の確認点:眠気、ふらつき、筋肉が緩むことによる転倒、服用後の健忘など。連用で身体依存が生じる場合があり、急な中止・減量では反跳性不眠(以前より眠りにくくなること)や離脱症状が起こることがあります。飲酒との併用は避けます。
▶ ベンゾジアゼピン系を動画で知る|4:20から見る →薬の種類の一覧に戻る ↑効果・転倒・認知症の比較へ →
Tmax・半減期の読み方へ戻る ↑02 / 同じGABAに働く、別のグループ
非ベンゾジアゼピン系(Z薬)
ベンゾ系との共通点と、薬ごとの特徴を確認します。
ベンゾ系とは化学構造が異なりますが、GABAの働きを強める点は共通しています。ベンゾ系と合わせて「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と呼びます。
ゾルピデムゾルピデム酒石酸塩
代表的な商品名:マイスリー
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約48分(0.8時間)
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約2時間(2.06時間)
試験条件:健康成人6人にマイスリー5mgを空腹時に1回投与。いずれも平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
国内の効能は不眠症(統合失調症・躁うつ病に伴う不眠症を除く)です。寝つきの改善を中心に検討されます。服用後の健忘や、十分に目覚めないまま行動する睡眠随伴症状にも注意します。
エスゾピクロンエスゾピクロン
代表的な商品名:ルネスタ
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約1時間
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約5時間(5.08時間)
試験条件:日本人健康成人男性9人に2mgを1日1回、7日間投与した7日目。Tmaxは中央値、半減期は平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
国内の効能は不眠症です。寝つきと夜間の睡眠の両方を振り返ります。苦味が気になることがあり、翌日の眠気やふらつき、健忘なども確認します。
非ベンゾジアゼピン系でも、依存や転倒に注意が必要です。自分では覚えていない食事・歩行などを指摘されたら、速やかに処方元に連絡してください。過去に薬による異常行動があったことも必ず伝えます。
▶ 非ベンゾジアゼピン系(Z薬)を動画で知る|5:55から見る →薬の種類の一覧に戻る ↑効果・転倒・認知症の比較へ →
Tmax・半減期の読み方へ戻る ↑03 / 覚醒の信号に働く薬
オレキシン受容体拮抗薬
目覚めを保つオレキシンの働きを抑え、眠りを助ける薬です。日本では4種類が使われています。
4剤とも国内の効能は不眠症。寝つきだけでなく、夜中に目覚めている時間や翌日の状態も確認します。
スボレキサントスボレキサント
代表的な商品名:ベルソムラ
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約1時間
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約12.5時間
試験条件:外国人健康成人16人に20mgを空腹時に1回投与。Tmaxは中央値、半減期は調和平均。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
入眠と睡眠維持を支える選択肢です。成人と高齢者で標準用量が異なる薬で、年齢や併用薬も踏まえて処方します。眠気、悪夢、睡眠時麻痺(金縛りのような体験)などを確認します。
レンボレキサントレンボレキサント
代表的な商品名:デエビゴ
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約1.5時間
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約47時間(47.4時間)
試験条件:日本人健康成人男性6人に10mgを1日1回、14日間投与した14日目。Tmaxは中央値、半減期は平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
ここでの半減期は、血液中に残る薬が最終的にゆっくり減っていく段階の値です。「47時間眠り続ける」という意味ではありません。翌朝の眠気には個人差があります。
寝つきや睡眠の維持の改善を目指します。薬を分解する酵素に影響する併用薬や、肝臓の状態などで用量への配慮が必要です。翌朝の眠気、悪夢や睡眠時麻痺も相談してください。
ダリドレキサントダリドレキサント
代表的な商品名:クービビック
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約1.4時間(1.42時間)
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約7時間(6.92時間)
試験条件:日本人の健康な非高齢成人6人に50mgを投与した1日目。いずれも平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
夜の睡眠と日中の状態を合わせて評価する薬です。重度の肝機能障害や、特定の強いCYP3A阻害薬との併用では使用できません。眠気などの負担がないか、生活への影響も含めて確認します。
ボルノレキサントボルノレキサント
代表的な商品名:ボルズィ
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約30分(0.5時間)
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約2時間(2.13時間)
試験条件:健康成人男性12人に10mgを1回投与。Tmaxは中央値、半減期は平均値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
不眠症に使われるオレキシン薬です。健康成人男性への空腹時単回投与試験では半減期が約2時間と短い特徴があります。半減期が短くても、翌朝の眠気が残ることがあります。めまいや悪夢などにも注意します。
4剤の違いは、薬の残り方・飲み合わせ・体調への配慮などです。薬ごとに試験の条件が違うため、添文の副作用の割合や半減期だけを並べて「最も安全」「最も強い」と順位づけることはできません。CYP3Aは薬の分解に関わる酵素で、その働きを変える薬との併用では、効果が強まったり弱まったりします。
GABAに直接働くベンゾ系とは仕組みが異なります。一方、翌朝の眠気・注意力低下や転倒の可能性は残ります。ベンゾ系からの変更を希望する場合も、元の薬を急にやめないことが大切です。長期的な認知症予防効果は確立していません。下の共通比較もあわせてお読みください。
▶ 睡眠薬の仕組みを動画で知る|6:20から見る →薬の種類の一覧に戻る ↑効果・転倒・認知症の比較へ →
Tmax・半減期の読み方へ戻る ↑04 / メラトニンの受容体に働く薬
メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)
寝つきの改善に使う薬です。ほかの睡眠薬と働き方が異なります。
「布団に入っても、なかなか眠りに入れない」。ラメルテオンは睡眠・覚醒リズムに関わるメラトニン受容体(MT1・MT2)に働く薬です。代表的な販売名はロゼレムです。
詳しく見る|Tmax・半減期・注意点
体の中での薬の動き
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax)
約45分(0.75時間)
血液中の濃度が半分に減る時間(半減期)
約1時間(0.94時間)
試験条件:健康成人18人にロゼレム8mgを空腹時に1回投与。Tmaxは中央値、半減期は平均値。体内で変化する前のラメルテオンの値。 ここに示す量は試験時の条件で、服用量の案内ではありません。
対象となる症状不眠症の入眠困難
国内の効能は「不眠症における入眠困難の改善」です。夜中の目覚めが主な悩みの場合や、体内時計のずれがある場合は、症状に合わせて治療を選びます。
効果の振り返り寝つきと日中を、継続して確認
GABAを介して鎮静を強める薬とは仕組みが異なります。「飲んですぐ強く眠くなるか」だけで判断せず、寝つくまでの時間と翌日の状態を確認します。電子添文では開始2週間後を目安に有効性・安全性を評価します。
確認したいこと:眠気、めまい、倦怠感など。フルボキサミンとの併用は禁忌です。食事と同時・食直後の服用は避けるなどの注意もあるため、服用時刻やほかの薬は医師・薬剤師と確認します。メラトニンのサプリメントとは異なる処方薬です。
ベンゾ系のような依存性を懸念して治療を選ぶ際にも検討されますが、「副作用がない薬」という意味ではありません。今の薬から変更するときには、その薬の減らし方も含めて相談しましょう。
薬の種類の一覧に戻る ↑効果・転倒・認知症の比較へ →
体内時計に関わる働きから概日リズム睡眠・覚醒障害で検討される場合もありますが、国内の承認は「不眠症における入眠困難の改善」です。概日リズム障害自体への使用は適応外で、服用する時刻も含めて個別の判断が必要です。
眠る時刻がずれてしまう方はこちら →
Tmax・半減期の読み方へ戻る ↑睡眠薬の効果・転倒・認知症について
薬の種類に加え、量や作用時間、年齢、持病、ほかの薬によって効き方は変わります。眠りが改善しているか、翌日に眠気やふらつきが残らないかを確かめながら、合う薬を探します。
GABAベンゾ系・Z薬
期待すること:寝つきや睡眠の維持の改善。薬により特徴が異なります。
確認すること:翌朝の眠気、ふらつき、服用後の記憶の抜け。長期使用では身体依存が生じる場合があり、中止方法を相談します。[1]
服用中の方へ →OREXINオレキシン受容体拮抗薬
期待すること:覚醒を維持する信号を弱めて不眠を改善。
確認すること:眠気、悪夢など。ベンゾ系とは仕組みが違いますが、転倒や翌朝への影響がなくなるわけではありません。[4]
治療の見直しへ → 睡眠薬の関連コラム・動画
READ / 下浦・イチ坊・スイくんと読む
睡眠薬は危険?
依存・副作用と正しい使い方
「一度飲むとやめられない?」「長く飲むと認知症になる?」。気になる疑問を会話形式で整理した関連コラムです。
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CHECK / TREATMENT GOALS
治療の効果と副作用を確かめる
治療前と比べて、夜と日中がどう変わったかを見ます。医師と「まず寝つきを楽にしたい」「翌朝のふらつきを減らしたい」など、具体的な目標を決めましょう。
01 / 入眠寝つくまでの時間
横になってから眠るまでの時間(入眠潜時)。毎晩時計を見続ける必要はなく、翌朝におおよその感覚を記録します。
02 / 睡眠維持夜中に起きている時間
目が覚めた回数に加え、再び眠るまでどれくらいかかるか、早朝に目が覚めて困るかを振り返ります。
03 / 休息睡眠時間と休めた感じ
合計の睡眠時間と、寝床で過ごす時間を確認します。全員が8時間眠ることを一律の目標にはしません。
04 / 日中生活のしやすさと負担
集中力、疲労、仕事や家事への支障が軽くなったか。眠気や転びそうな場面が増えていないかも同時に見ます。
臨床試験では入眠潜時、入眠後の覚醒時間、総睡眠時間などが指標になります。診療では睡眠日誌や不眠の質問票も手がかりにし、本人の困りごとの改善を重ね合わせます。一晩の結果や、薬を飲んだ直後の眠気の強さだけで増量を決めません。
睡眠薬の種類の一覧へ進む →効果・転倒・認知症の比較へ →
服薬中の方へ|次の診察で伝えること
今の薬が役立っていることと、気になっていることの両方をお伝えください。継続する、量を調整する、別の薬を検討する、CBT-Iを組み合わせるなど、今の状態に合わせて相談します。減薬だけを成功の基準にせず、眠りと生活が安定していることを大切にします。
薬の変更や中止のペースは個別に決めます。強いふらつきや記憶の抜けなどがある場合は、次回の診察まで我慢せず処方元に相談してください。運転に関する注意は薬ごとの最新の説明を医師・薬剤師に確認しましょう。
よくあるご質問
Q. 8時間眠れないと病気ですか?
必要な睡眠時間には個人差があります。時間だけで決めず、眠る機会、睡眠の状態、日中の支障を合わせて評価します。
Q. 睡眠薬は必ず処方されますか?
必ずではありません。背景の病気への対応、生活の調整、Medcleを用いたアプリ治療、薬物療法などから、症状とご希望に合う方法を相談します。アプリ治療が適しているかは、診察で判断します。
Q. 毎晩正確に日誌をつける必要がありますか?
おおよその記録で構いません。平日と休日の違い、昼寝、翌日の状態などを続けて見ることを大切にします。
Q. 市販の睡眠改善薬も伝えるべきですか?
はい。処方薬に限らず、市販薬、サプリメント、飲酒の状況も教えてください。眠気や併用の影響を確認するためです。
一般的な疾患・検査・治療の説明です。実際の診断や治療は個別の状態により異なります。Medcleの利用可否は、診察で症状や対象条件を確認して判断します。