01 日中のウォーキング
会話できる程度の楽な速さで、短い散歩から。長く座る日は、可能な範囲で立って少し歩く時間を挟みます。就寝前の激しい運動は避け、夜に悪化するなら時間帯や強さを調整します。
RESTLESS LEGS
むずむず脚症候群(RLS)・周期性四肢運動障害(PLMD)
「虫がはう感じ」「脚の奥が落ち着かない」など、感じていることをそのままお聞かせください。症状の出る時刻や、動いたときの変化から原因を調べ、治療を考えます。
症状を知る
「虫がはう感じ」「脚の奥が落ち着かない」など、ご自身の言葉で伝えてください。休むとつらく、動くと楽になるかが手がかりになります。

「虫がはう」「むずむず」「ビリビリ」「脚の奥が落ち着かない」など、感じ方はさまざまです。大切なのは、不快感とともに脚を動かしたくなること。座る・横になるとつらくなり、歩いたり伸ばしたりしている間は楽になり、夕方から夜に目立ちます。[1]
入眠困難の原因になりますが、症状が出るのは寝つく前だけとは限りません。日中の長い移動や会議でも起こることがあります。しびれやこむら返りなど、似た症状を起こす別の病気との区別も必要です。
症状を知る
RLSでは、起きているときに脚を動かしたくなります。PLMDでは、眠っている間に脚などが繰り返し動き、眠りや日中の生活に支障が出ます。PLMSは病名ではなく、睡眠中に見られる周期的な動きの所見です。[1・2]
横になるとむずむずして、脚を動かしたくなる。歩いたり伸ばしたりすると楽になる。
「いつつらいか」「動くとどうなるか」をお伝えください。
眠っている間の脚の動きを家族に指摘されたり、夜中に目が覚めたりする。
「眠りや翌日に困ることがあるか」も一緒にお伝えください。
RLSには睡眠中の脚の動き(PLMS)がよく伴います。ただし、眠ってから脚が動くことだけで、PLMDとは決まりません。
RLSと睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)は、重なってみられることが多い組み合わせです。RLSの方の約80〜90%にPLMSがみられると報告されています。これはAASMの2012年のガイドラインに記載された目安で、対象となる方や検査条件によって頻度は変わります。[4]
つまり、「寝る前は脚がむずむずする」「眠った後は脚が繰り返し動く」という両方が、同じ方に起こることは珍しくありません。ご自身が感じる不快感に加え、ご家族から指摘された睡眠中の脚の動きや、夜中の目覚めも一緒にお伝えください。
ただし、「PLMSがある」ことと「PLMDという病気である」ことは同じではありません。PLMDは、睡眠中の動きに加えて眠りや日中生活への支障があり、RLSや未治療の睡眠時無呼吸などでは説明できない場合に検討する診断です。RLSに伴うPLMSを、そのまま「PLMDの合併」と呼ぶわけではありません。[2]
| 比較する項目 | RLS むずむず脚症候群 | PLMD 周期性四肢運動障害 |
|---|---|---|
| 中心となる症状 | 脚を動かしたくなる感覚 むずむず・虫がはう感じなど | 睡眠中に繰り返す脚の動き 本人は気づかないことも |
| 起こる場面 | 覚醒中の安静時 夕方〜夜に強い | 入眠後・睡眠中 |
| 眠りへの影響 | 不快感で寝つきにくい 夜中に目覚めた後も症状が出る場合があります | 睡眠の中断や、日中の支障 脚の動きで眠りが浅くなっていないか確認 |
| 評価の中心 | 問診 安静で悪化・運動で軽減 | 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG) +症状・生活への影響 |
| 数値の目安 (成人) | PLMIの数値で RLSを診断するものではない | PLMI > 15回/時 睡眠1時間あたりの周期性四肢運動の回数 |
| 診断で必要な確認 | 特徴的な症状があり 他の原因だけでは説明できない | 眠りに困っている または翌日の生活に支障があり、 他の原因では説明できない |
診察・検査を知る
RLSは、症状の起こり方を伺うことが診断の中心です。血液検査や睡眠検査は、背景や別の原因を確かめるため、必要に応じて組み合わせます。
座る・横になるとつらいか、動いている間は軽くなるか、夕方から夜に強いか、どのくらい続くかを伺います。睡眠や日中生活への影響、しびれ・こむら返りなど別の原因、服用中の薬や持病も一緒に確認します。 脚の違和感だけでRLSと決まるわけではありません。 [1]
フェリチン(体に蓄えた鉄の目安)などを調べ、必要に応じて腎臓の働きなども確認します。貧血の有無だけで鉄が十分かは判断できません。検査値と症状を合わせて、治療の必要性を考えます。[1・2]
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)では、睡眠中の脳波・呼吸・脚の動きなどを記録します。PLMDや睡眠時無呼吸などを調べる際に検討しますが、RLSの診断にPSGが必ず必要というわけではありません。検査の結果だけでなく、ご本人の困りごとと照らして判断します。[1・2]
PLM指数(PLMI)は、眠っている1時間あたりの周期性四肢運動の回数です。評価には、脚の筋電図を含むPSGが必要です。当院の在宅検査ではPLM指数を評価できないため、PLMDが疑われ、詳しい確認が必要な場合は、入院PSGに対応する医療機関へ紹介する方針です。
検査後は、PLM指数だけでなく睡眠・日中生活への支障や、ほかの原因を確認して治療の必要性を判断します。
紹介先の検査結果と診断・治療方針を確認したうえで、継続する薬物治療や経過観察をどこで行うか、受入体制と病状に応じて相談する方針です。病状やお薬の処方条件に応じて、必要な医療機関と診療を分担する方針です。
診察・検査を知る
過去1週間の脚の不快感と、睡眠・日常生活への影響を振り返る10項目です。診察で症状の強さを共有するために使い、RLSかどうかを診断するものではありません。
10項目を0〜4点で選ぶと、合計点(40点満点)と重症度の目安がその場で表示されます。診察で症状の強さを共有するためのチェックで、RLSかどうかを診断するものではありません。
7日前の日付を思い出し、その日から今日までのRLSの影響を振り返ってください。直近の日や最もつらい日だけではなく、過去7日間の通常の状態で回答します。薬の変更の有無にかかわらず、他の健康・生活上の問題ではなくRLSによる影響についてお答えください。
点数は重症度を共有する目安です。0点でも「異常なし」という診断にはなりません。回答はこのページ内で計算し、送信・保存しません。
治療・その後を知る
治療の目標は、脚の不快感を減らし、眠りと日中の過ごしやすさを取り戻すことです。症状の強さや背景、暮らしに合わせて、無理なく続けられる方法を考えます。
まず、鉄不足・腎臓の病気・妊娠との関係、服用中の薬、睡眠不足などを確認します。抗アレルギー薬や一部の精神科のお薬などが影響する場合もありますが、必要なお薬を自己判断で中止せず、お薬手帳を持って相談してください。
症状が軽いときや、ときどき現れるときは、生活の工夫で楽になることがあります。薬を使う場合も、無理のない範囲で続けてみましょう。工夫しても眠れない日が続くときは、ご相談ください。
国内の2024年ガイドラインでは、運動療法などを補助的な手段として提案しています。運動の効果を調べた研究はまだ少ないため、症状や体力に合わせて試します。下の図を参考に、心地よく動かせる方法を選んでください。

会話できる程度の楽な速さで、短い散歩から。長く座る日は、可能な範囲で立って少し歩く時間を挟みます。就寝前の激しい運動は避け、夜に悪化するなら時間帯や強さを調整します。
壁に手を添え、足を前後に開きます。前の膝を軽く曲げ、後ろのかかとを床につけたまま、ふくらはぎが心地よく伸びるところでゆっくり呼吸。反動をつけず、左右を替えます。
安定した椅子に座り、片足ずつ足首をゆっくり反らしたり戻したりします。足を高く持ち上げる必要はありません。痛みのない範囲で数回から試し、ふらつく方は立って行わないようにします。
痛み・強いしびれ・めまいが出る、むずむずが増す場合は中止してください。関節や心臓の病気、転倒の心配がある方は、運動の方法を担当医に確認しましょう。
眠る前は、心地よく過ごせる工夫を。ぬるめの入浴ややさしいマッサージで楽になる方もいます。熱い湯や長時間の加温は避けてください。起きる時刻をなるべくそろえ、睡眠不足をためないことも大切です。カフェインや飲酒で悪化する場合は、量や時間帯を見直します。

RLSには、脳で利用される鉄の不足が関わると考えられています。ヘモグロビンが正常でも、体に蓄えた鉄が少ないことがあります。採血ではフェリチン(貯蔵鉄の目安)や、必要に応じてトランスフェリン飽和度(鉄の運ばれ方の目安)などを確認します。炎症でフェリチンが高く出ることもあり、数字一つでは判断しません。
不足があれば原因も調べ、食事や鉄補充を検討します。RLSの改善を目的とした鉄剤は、国内では適応外です。鉄欠乏性貧血の治療とは区別して説明します。鉄は多く取るほどよいわけではなく、便秘・吐き気や過剰摂取の問題もあるため、市販の鉄剤を自己判断で追加せず相談してください。
「承認適応」は、日本でその薬を使う対象として認められている病気・条件です。以下はビ・シフロールの通常錠とレグナイトの説明です。同じ成分でも、製剤によって使える病気や条件が異なります。
妊娠・授乳中や腎臓の病気がある方は、一般的な薬の選び方をそのまま当てはめず相談してください。
横にスクロールして比較できます →
代表的な商品名:ビ・シフロール
RLS:国内承認あり
中等度〜高度の特発性RLS
PLMD単独:承認適応なし
使用する場合は適応外
どんな薬?
ドパミンの受容体に働く薬。RLSの不快感や脚を動かしたい感覚を和らげる選択肢です。
一緒に確認すること
吐き気、眠気、立ちくらみ、急に眠り込む症状。買い物や賭け事などへの衝動が抑えにくくなる変化にも注意します。
症状が以前より早い時刻に出る、強くなる、腕にも広がる場合は、オーグメンテーション(治療に伴う症状の悪化)の可能性があります。
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax):約1.5時間
半分に減る時間(半減期):約7.7時間(7.71時間)
健康成人8人、0.1mgを空腹時に1回投与した試験の平均値。試験時の量で、服用量の案内ではありません。
代表的な商品名:レグナイト
RLS:国内承認あり
中等度〜高度の特発性RLS
PLMD単独:承認適応なし
使用する場合は適応外
どんな薬?
体内でガバペンチンに変わり、神経の興奮を抑える方向に働きます。RLSの症状を和らげる選択肢です。
国内の使用条件
原則、ドパミンに働く薬で十分な効果が得られない場合、またはオーグメンテーションなどで使えない場合に限る、という電子添文上の条件があります。
一緒に確認すること
眠気、めまい、体重増加など。腎臓の働きに応じた調整が必要で、高度の腎機能障害では使用できません。
血液中の濃度がピークになるまで(Tmax):約7時間(6.96時間)
半分に減る時間(半減期):約6.3時間(6.27時間)
外国人RLS患者32人、600mgを1日1回食後に反復投与した12週目の平均値。体内で変化してできるガバペンチンの値です。試験条件であり、服用量の案内ではありません。
PLMDに薬を使う場合は、期待できる効果や副作用、保険が使えるかを診察でご説明します。ほかの原因への治療で改善しないかも確認したうえで、薬が必要か相談します。
国内と海外で、薬の位置づけには違いがあります。国内2024年ガイドラインは、ドパミン受容体作動薬とガバペンチン エナカルビルの有効性を評価しつつ、開始時からオーグメンテーションのリスクを考慮するよう示しています。米国2025年指針は長期的なリスクをより重視し、プラミペキソールの標準的な使用に慎重な立場です。診察では、これまでの効き方や副作用、腎臓の働きを確かめ、日本で認められている使用条件に沿って薬を選びます。
薬を急にやめると、症状が強く悪化する場合もあります。
米国指針は成人RLSにガバペンチン エナカルビルを推奨していますが、日本では原則としてドパミン受容体作動薬が効かない、または使えない場合という電子添文の条件があります。
薬を始めた後は、脚のつらさ・眠り・日中の過ごしやすさと副作用を確認します。受診前の数日だけでも、次の項目を簡単にメモしておくと役立ちます。
じっとしていられる時間が短くなるなどの変化も、受診を待ちすぎずご相談ください。治療に伴う症状の悪化だけでなく、鉄不足や生活の変化も確認し、必要なら医師の管理で薬を調整します。
夜のつらさを一人で我慢する必要はありません。「これができるようになりたい」という希望を共有し、生活の工夫も薬も、続けやすい形に調整していきましょう。
貧血がなくても、体に蓄えた鉄が少ないことがあります。必要に応じて採血で調べ、症状も見ながら鉄を補うか判断します。
動きだけでは診断しません。RLSでは睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)もよくみられますが、それだけでPLMDを合併しているとはいえません。睡眠や日中への影響を確認し、RLSや未治療の睡眠時無呼吸などで説明できないかを調べます。[2]
歩いたり脚を伸ばしたりすると、その間は楽になることがあります。無理のない運動を試し、眠れないほどつらい場合は鉄不足などの確認や薬についても相談しましょう。
症状の自然な変動だけでなく治療に伴う症状の悪化(オーグメンテーション)も確認します。服薬内容と症状が始まる時刻を記録し、自己増量せず相談してください。
資料確認:2026年9月28日。適応は上記製品の電子添文に基づきます。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。薬の服用中の運転については、必ず担当医師にご相談ください。
日本神経治療学会 RLS診療ガイドライン2024(疾患概念・鑑別・治療・augmentation)
AASM RLS・PLMD治療ガイドライン2025(Good Practice Statement、疾患別推奨)
AASM 新RLS・PLMDガイドライン解説(augmentationと推奨変更)
AASM RLS・PLMD診療ガイドライン2012(RLSに伴うPLMSの頻度:診断の背景説明)
[5]日数の3点は英語版IRLSの4〜5日に照合しています。日本語参考訳には3〜4日という表記があります。
[6]公開されている日本語参考訳をもとに、説明と表示を整理した回答補助です。正式な日本語版IRLS質問票ではありません。合計は10項目・40点満点で、補足質問は加算しません。
[7]症状の日数は、日本語参考訳の3点が「3〜4日」となっていますが、英語版IRLSの「4〜5日」を表示しています。持続時間は原資料の表記を保持しています。境界で迷う場合は診察時にご確認ください。
RLS診療ガイドライン2024:重症度区分・日本語参考訳 ↗
英語版IRLS(公開研究プロトコル掲載):日数の回答基準 ↗
症状を整理するための回答補助です。10項目・40点満点で、補足質問は加算しません。
当院の診療対象は13歳以上(中学生以上)です。2027年春ころ、武蔵小杉駅周辺での開院を予定しています。
横になると脚がむずむずして眠れない、動かすと軽くなるなどの症状を伺う予定です。必要に応じて鉄の不足など関連する身体の状態を確認し、他科への紹介を検討します。脚の筋電図を含む施設PSGが必要な場合は、対応する医療機関へ紹介する方針です。