いびき・SAS

心房細動と睡眠時無呼吸|動悸がある人の夜の呼吸

動悸と、夜の呼吸 睡眠時無呼吸との関係を知る

心房細動の治療中に「睡眠の検査も受けましょう」と勧められたことはありませんか。心臓のリズムと睡眠中の呼吸には関係があります。心電図と睡眠検査の違い、CPAPで期待できること、受診時に伝えておきたい症状を紹介します。

心房細動で、夜の呼吸も調べる理由

イチ坊
心房細動の患者さんの問診で、いびきや呼吸が止まるかも確認するのはなぜですか?
下浦
心房細動のある人には睡眠時無呼吸が見つかることが多いからだよ。心房細動は心臓の上の部屋である心房の電気信号が乱れる不整脈。無呼吸が重なっていないか確認することも、診療の一つなんだ。

呼吸が繰り返し止まると、酸素の低下や胸の中の圧力変化などが起こり、心臓への負担につながります。動悸の原因はさまざまなので、心電図で不整脈を確かめ、必要に応じて睡眠中の呼吸も調べます。

睡眠中に気道が狭くなる様子と、CPAPで気道を保つ仕組み

眠気がなくても、相談の手がかりがあります

いびき、家族から指摘された呼吸の停止、息苦しくて目覚めること、朝の頭痛、日中の眠気などがあれば、心臓の診察でも伝えてください。眠気が目立たない方でも、睡眠時無呼吸が見つかることがあります。

イチ坊
「眠くない」という回答なら、睡眠の問診は終えていいですか?
スイくん
そこだけでは終えないよ。呼吸の指摘や夜中の様子も聞いて、先生につなごう。検査するかは、心臓の状態やほかの情報と合わせて判断するんだ。

強い胸痛、息苦しさ、失神を伴うときは、睡眠の検査を待たずに救急受診してください。

心電図と睡眠検査は、調べるものが違います

検査主に調べること
ホルター心電図日常生活中の心臓の電気信号。不整脈の種類や出る時間
簡易睡眠検査自宅で睡眠中の呼吸や酸素の変化などを記録
PSG(睡眠ポリグラフ検査)脳波なども記録して、睡眠と呼吸の関係を詳しく確認

ホルター心電図には、24時間型のほか、数日以上記録できる小型の機器もあります。症状がいつ出るかに合わせて選びます。睡眠検査も、症状や合併する病気を踏まえて方法を決めます。

心拍の変化やスマートウォッチは、受診の手がかりに

無呼吸の前後では心拍が周期的に変化することがあり、これをCVHRと呼びます。心電図からその回数を解析して、睡眠時無呼吸を見つける手がかりにする研究があります。Hayanoらが、睡眠検査を受けた862人のPSGに含まれる心電図を解析した研究では、中等度以上(AHIが1時間15回以上)を見つける感度(該当する人を見つける割合)83%・特異度(該当しない人を正しく除く割合)88%が報告されました。これは特定の解析方法と対象者で得られた結果です。

イチ坊
心電図で手がかりが出たら、睡眠検査も済んだことになりますか?
スイくん
心電図と睡眠検査では記録するものが違うよ。疑いがあれば、呼吸を記録する検査へつなぐんだ。

スマートウォッチにも呼吸の乱れを知らせる機能がありますが、使うセンサーや解析方法は製品で異なります。例えばApple Watchの睡眠時無呼吸通知は、加速度センサーで手首の小さな動きを調べます。心拍解析と同じ仕組みとは限りません。通知や気になる記録は、受診時に見せてください。

CPAPは、睡眠中の呼吸を整える治療です

CPAPはマスクから空気を送り、睡眠中の気道を保つ治療です。心房細動と睡眠時無呼吸がある場合も、検査結果や症状に応じて検討します。

イチ坊
CPAPを使えば、心房細動の再発も防げるんですよね?
下浦
再発が少なかったという観察研究はあるけれど、再発予防の効果はまだ確かとは言い切れないんだ。心房細動の治療を続けながら、睡眠時無呼吸にも必要な治療を行うと考えてほしい。

循環器の薬やカテーテル治療と、睡眠時無呼吸の治療は目的が異なります。CPAPを始めた後も、循環器の薬を自分で減らしたり中止したりせず、担当医と治療を続けましょう。

受診時に伝えると役立つこと

動悸が出た時刻と続いた長さ、息苦しさやめまいの有無、いびきや呼吸停止の指摘、使用中の薬をメモしておくと役立ちます。心電図や睡眠検査の結果があれば、一緒に持参してください。循環器と睡眠の診療で情報を共有すると、検査や治療を相談しやすくなります。

参考文献・出典を見る

この記事は一般的な情報をまとめたものです。症状や治療については、診察でご相談ください。

下浦雄大

下浦 雄大

日本睡眠学会認定 総合専門医
日本医師会認定 産業医

RESM新東京スリープメディカルケアクリニック
副院長

📋 この記事の執筆者はコチラ

睡眠専門医が、あなたの「眠れない」に答えます。

山梨大学医学部卒業後、循環器内科での臨床経験を経て睡眠医療へ転身。現在はRESM新東京スリープメディカルケアクリニック副院長として、睡眠・循環器・産業医の3領域で診療中。一般クリニックでは対応困難な「過眠症」や「概日リズム睡眠障害」まで、科学的根拠にもとづいた支援を行っています。


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RESM新東京スリープメディカルケアクリニック 副院長 下浦 雄大 | 日本睡眠学会認定総合専門医  日本医師会認定産業医

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