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年代・ライフステージと眠り

夜中に何度も起きる|高齢期の眠りと対策

夜中のトイレ、朝早い目覚め、家族に言われる大きな寝言。年齢とともに眠りは変わりますが、困っている症状を一つずつ確かめると、生活の工夫や治療につながることがあります。

夜中に目覚めた女性と、日中に友人と散歩する高齢女性。

睡眠ガイド2023から

高齢期の眠り|床上時間と日中の活動を見直す

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の高齢者版をもとに、生活で確かめたい点をまとめました。

1.若い頃と同じ眠りを目標にしなくてよい

年齢を重ねると、眠る・起きる時刻が早まり、睡眠が途中で切れやすくなる傾向があります。必要な睡眠時間や、続けて眠れる長さも変化します。若い頃の睡眠をそのまま取り戻そうとして早く床に入ると、寝床で起きている時間が増えることがあります。大切なのは、眠りの長さだけでなく、朝に休めた感じがあり、日中の生活が保たれているかを見ることです。急な変化やつらい症状まで加齢だけで片づける必要はありません。

2.「床にいた時間」と「眠った時間」を区別する

高齢者版は、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠を確保するよう勧めています。床上時間とは、寝床で目が覚めている時間も含む長さです。「8時間眠ってはいけない」という意味ではありません。まず一週間ほど、床に入った時刻、起床時刻、眠っていたと思う時間を分けて記録します。ガイドには平均睡眠時間に30分程度を足す考え方もありますが、個人差や体調を踏まえ、機械的に短くしないことが大切です。

3.長く横になれば、休養が増えるとは限らない

退職などで時間の使い方が変わると、身体が必要とする睡眠に対して、寝床で過ごす時間が長くなる場合があります。眠れない時間が増え、休めないためさらに早く床に入る、という循環が生じることもあります。長い床上時間と休養感の乏しさは健康との関連が報告されていますが、病気のために横になる必要がある方もいます。研究結果を理由に療養や休息を削らず、持病、活動量、眠気に合わせて主治医と調整します。

床上時間には覚醒時間も含まれる。睡眠時間と分けて記録し、日中の活動や持病に応じて相談する。

4.昼間の活動が、夜の眠りにつながる

ガイドは日中を活動的に過ごし、長時間の昼寝を避けることを勧めています。散歩、買い物、人との交流、体調に合う運動など、無理のない予定をつくります。長い昼寝や夕方の居眠りがある場合は、夜の寝つきとの関係を確かめます。活動が難しい方では、持病や身体機能に応じた過ごし方を相談します。眠気を我慢して危険な作業を続けるのではなく、なぜ日中に眠くなるかを見直すことも必要です。昼と夜のメリハリを少しずつ取り戻します。

5.寝室と夕方以降の習慣を整える

寝室の音、明かり、温度を調整し、カフェイン、ニコチン、飲酒など眠りに影響する習慣を確認します。眠気が出る前から長く床にいる場合は、就床時刻を見直す手がかりになります。なかなか眠れないとき、寝床の外の静かな場所で落ち着いて過ごし、眠気を待つ方法もあります。ただし夜間に移動する場合は転倒に注意し、安全を優先します。薬を飲んでいる方は、効き方や翌朝のふらつきも含め、自己判断で増減せず相談しましょう。

6.休養感が戻らないときは、ほかの原因も確かめる

生活や寝室を見直しても休めない、日中の眠気や不調が続く場合は、睡眠時無呼吸などの睡眠障害や、身体・こころの病気が隠れていることがあります。痛み、呼吸の苦しさ、服薬、気分の変化なども眠りに影響します。家族から見た睡眠中の様子も役立つ情報です。本人が困っていることと、周囲が気づいた変化を一緒に伝えます。睡眠時間だけを減らす対策で終わらせず、必要な睡眠を保ちながら、昼間を過ごしやすくする方法を考えます。

7.本人の実感と家族の気づきを持ち寄る

一週間の記録を見ながら、夜に目覚めても翌日に困らないのか、疲れや眠気で予定を控えるようになったのかを分けて考えます。家族は、眠りの時間を一方的に決めるのではなく、本人のつらさや希望を聞きます。外出が減っている場合も、単に昼寝をやめさせるのではなく、痛み、移動の難しさ、生活環境などを確認します。毎日の食事や交流の時間が、生活にメリハリを戻す手がかりになることもあります。強い眠気があるときは安全を優先し、活動を無理に増やさず相談してください。生活の工夫で対応できる部分と、病気や薬を確認する部分を分けることで、自分に合った休み方を探しやすくなります。

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」高齢者版・冊子19〜21頁

夜中のトイレは、膀胱だけの問題とは限りません

夜間頻尿の原因は、夜の尿量、膀胱にためる働き、睡眠の中断など。排尿時刻・量と睡眠を記録し、医師へ相談する。

夜間頻尿には、夜間の尿量が多い、膀胱にためられる量が少ない、睡眠が途切れるなど、いくつかの要因があります。いびきや呼吸停止がある場合は睡眠時無呼吸も確認します。

排尿した時刻や量、飲水、就寝・起床時刻を記録して、かかりつけ医や泌尿器科で相談すると原因を考えやすくなります。水分や薬を自己判断で大きく変えず、持病も含めて確認しましょう。

夜間の移動は、足元灯や通路の片づけで転倒を防ぎます。

この節の出典:日本泌尿器科学会「夜間、何度も排尿で起きる」

寝言に加えて、殴る・蹴る動きがあるとき

夢に合わせるように大声を出す、手足を激しく動かす、ベッドから落ちる場合は、レム睡眠行動障害(RBD)などが考えられます。寝言だけで診断はできず、睡眠時無呼吸などとの区別も必要です。

けがの危険があるときは寝室の安全を確保し、睡眠外来や脳神経内科へ相談してください。ベッド周りの硬い物や危険な物を片づけ、同室の方の安全も確かめます。発生した時刻や動きの様子を、家族の気づきと一緒に伝えましょう。

受診で伝えたい、3つのこと

  • いつから・週に何回ほど困っているか。
  • 夜間の排尿、いびき、寝言や動きなど、目覚めに伴う症状。
  • 日中の眠気、転倒、現在の薬、家族が気づいた変化。

睡眠薬を使っている方は、効き方だけでなく翌朝のふらつきも伝えてください。薬の追加や中止は医師と相談します。

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」高齢者版(冊子19〜21頁)

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参考文献・出典

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や持病に合う対策、薬の変更は担当の医師にご相談ください。

下浦雄大

下浦 雄大

日本睡眠学会認定 総合専門医
日本医師会認定 産業医

RESM新東京スリープメディカルケアクリニック
副院長

📋 この記事の執筆者はコチラ

睡眠専門医が、あなたの「眠れない」に答えます。

山梨大学医学部卒業後、循環器内科での臨床経験を経て睡眠医療へ転身。現在はRESM新東京スリープメディカルケアクリニック副院長として、睡眠・循環器・産業医の3領域で診療中。一般クリニックでは対応困難な「過眠症」や「概日リズム睡眠障害」まで、科学的根拠にもとづいた支援を行っています。


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RESM新東京スリープメディカルケアクリニック 副院長 下浦 雄大 | 日本睡眠学会認定総合専門医  日本医師会認定産業医