糖尿病で通院していて、いびきや朝のだるさも気になる。そんなとき、夜の呼吸を調べることが診療の手がかりになります。血糖の管理、無呼吸の治療、目の定期検査をどう組み合わせるか、睡眠外来の視点から整理します。
このページの目次
気になるところからお読みいただけます。
糖尿病の診察で、いびきを聞くのはなぜ?
昼の血糖と夜の呼吸を合わせて確認します。
いびきや呼吸の停止は、本人が気づきにくい症状です。一人暮らしで指摘する人がいなくても、日中の眠気、朝の口の乾き、夜間のトイレなどから相談できます。眠気が目立たない方にも無呼吸はあるため、眠くないことだけで除外はできません。
閉塞性睡眠時無呼吸では、眠っている間にのどの通り道が狭くなり、呼吸が止まったり浅くなったりします。そのたびに酸素が下がり、本人が覚えていない短い目覚めが起こることがあります。夜のあいだにこうした変化が繰り返されると、身体を緊張させる交感神経などの働きにも影響します。
血糖を下げるインスリンが働きにくくなることや、血糖の調節に関わるホルモンの変化が、無呼吸と糖尿病をつなぐ仕組みとして考えられています。また、肥満、年齢、活動量など、両方に関わる背景もあります。糖尿病があるから無呼吸が原因だと決まるわけではなく、それぞれの状態を確認することが大切です。

CPAPで呼吸を整え、体調の変化をみる
呼吸・眠気・血糖の経過を合わせて、効果を確認します。
CPAPは、マスクから空気を送り、睡眠中に気道が閉じないように支える治療です。まず確かめるのは、無呼吸が十分に抑えられているか、眠気や朝の調子、睡眠中の困りごとがどう変わったかです。血糖の経過とともに、夜の呼吸や眠気がどう変わったかを確認します。
2型糖尿病と無呼吸がある98人を対象としたDSTT試験では、12週間後のHbA1cの変化に、CPAP群と比較群の明確な差は認められませんでした。
一方、よく使えている人ほど改善と関連する結果も示されました。『すべての人の血糖が同じように下がる』という約束ではなく、治療の使い方も含めて評価する研究です。
診察では、マスクの空気漏れ、途中で外してしまう理由、実際に眠っている時間に使用できているかを確認します。装着がつらい場合は、我慢の量を増やすより、合うマスクや鼻の症状、加湿などを相談しましょう。血糖・体重・血圧と、呼吸・眠気の両方を追うと、治療の変化を把握しやすくなります。
目の通院も一緒に続ける
眼科と睡眠外来で、必要な治療を並行して続けます。
糖尿病性網膜症は、目の奥にある網膜の細い血管に障害が起こる病気です。見え方に変化がない段階でも、眼科での確認が必要になることがあります。無呼吸の相談を始めても、糖尿病の主治医から勧められている眼科受診や治療は、そのまま大切にしてください。
無呼吸と網膜症の関係や、CPAPが目の病変に与える影響も研究されています。無呼吸と軽度~中等度の網膜症がある83人を52週間追った比較試験では、CPAPを加えた群で一部の網膜所見の改善が報告されました。
一方、解析によって微小な出血が増えた所見もあり、視力や網膜症全体の改善を一括して約束できる結果ではありません。
ここから大切になるのは、目の経過も共有しながら適切な無呼吸治療を続けることです。眼科では網膜と視力、睡眠外来では呼吸と使用状況を確認し、必要な治療を並行して続けます。目の治療内容が分かる資料があれば、睡眠の診察にも役立ちます。

受診には、今の治療が分かる資料を
お薬手帳や手元の検査結果が、診療をつなぐ手がかりになります。
初診では、いびきや眠気だけでなく、糖尿病の経過、薬、体重の変化、ほかの病気やこれまでの検査を伺います。お薬手帳や最近の検査結果が手元にあれば持参してください。糖尿病の治療先を変えなくても、睡眠の評価を分担する相談ができます。
自宅で呼吸を記録する簡易検査や、睡眠の状態を詳しく記録するPSGなどから、症状や持病に応じて検査を選びます。簡易検査の結果と症状が合わないときには、さらに詳しい検査を相談する場合もあります。糖尿病がある方全員が、同じ検査を同じ順番で受けるわけではありません。
糖尿病の診療と睡眠の診療が別の医療機関になる場合は、どの結果をどちらで確認するかを決めておくと、受診の準備がしやすくなります。血糖や目の経過については今の主治医・眼科へ、マスクの使用や残る眠気については睡眠の担当医へ伝えます。同じ資料をそれぞれの診察で確認できるよう、検査結果や薬の変更が分かるものを手元にまとめておきましょう。
治療開始後は、朝のだるさが減った、午後の会議で眠りにくくなった、夜中に起きる回数が変わったなど、暮らしの変化を短く記録しておくと役立ちます。変化が乏しいときも、そのこと自体が見直しの手がかりです。呼吸の治療状態、睡眠時間、ほかの眠気の原因などを順に確認できます。
いびきや眠気が気になるときは、いつもの糖尿病の診察でもお伝えください。夜の呼吸と日中の体調を一緒に確かめ、続けやすい治療につなげましょう。
参考文献・出典
本記事は一般的な情報提供を目的としています。検査・治療の選択や薬の変更は、症状や持病に応じて担当医にご相談ください。




