いびき・睡眠時無呼吸

脳卒中のあと、いびきや眠気は相談してよい?

脳卒中のあと、いびきや眠気は相談してよい?

脳卒中の治療やリハビリを続けるなかで、「以前からのいびきも相談してよいのだろうか」と迷うことがあります。夜の呼吸や昼の眠気は、退院後の生活を考えるうえでも大切な情報です。脳卒中の治療を続けながら、睡眠について何を伝え、どのように調べるのかを整理します。

スイくん
脳卒中のあとに紹介された方では、入院中の睡眠検査の結果も確認しておくとよいですよね。
下浦
そうだね。脳卒中の入院中に無呼吸に気づかれることもよくあるよ。すでに簡易検査を済ませて来る方も多いから、その結果を確認して、私たち睡眠医療機関では最初からPSG(脳波も測る詳しい睡眠検査)に進むこともあるんだ。

退院後に気づいたことを、診察で伝える

「寝ている間に呼吸が止まって見える」「大きないびきのあとに息を吸う」「昼間に何度も居眠りする」。本人が気づきにくい夜の様子は、家族からの情報も役立ちます。いびきが以前からあっても、退院後に初めて相談して構いません。

眠気や疲れやすさには、睡眠不足、薬、気分の変化、脳卒中そのものの影響なども関係します。リハビリへの集中が続かないからといって、すぐ睡眠時無呼吸が原因とは決められません。いつから、どの時間帯に、何に困るのかを具体的に伝えましょう。

一方、急に顔がゆがむ、片側の手足に力が入らない、言葉が出ない・ろれつが回らないときは、眠気の相談を待つ場面ではありません。新たな脳卒中を疑う症状は、すぐに119番へ連絡してください。

無呼吸と脳卒中の「関連」をどう考える?

閉塞性睡眠時無呼吸は、眠っている間にのどの空気の通り道が狭くなり、呼吸が繰り返し妨げられる病気です。酸素の低下や睡眠の分断、血圧の変動が起こり、脳卒中との関連が報告されています。ただし、無呼吸が見つかったことだけで、その人の脳卒中の原因を一つに決めることはできません。

CPAPは、マスクから空気を送り、睡眠中の気道を保つ治療です。無呼吸や眠気、生活の質、血圧の改善につながることがあります。一方で、CPAPを使えば脳卒中の再発を必ず防げる、という証明ではありません。血圧や心房細動などの管理、処方薬、リハビリも引き続き重要です。

睡眠検査は、脳卒中の経過に合わせて選ぶ

睡眠検査には、自宅で呼吸などを記録する簡易検査と、脳波・呼吸・酸素などを合わせて調べるPSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)があります。脳卒中の既往がある方では、簡易検査よりPSGが推奨されています。呼吸の異常の種類やほかの睡眠障害も考え、実施方法を相談します。

「家で測れるから簡易検査だけで十分」とは限りません。体を動かしにくい、機器を一人で装着しにくい、夜に介助が必要といった事情も、予約前に伝えてください。検査の場所や手伝い方を相談し、実施可能な方法を選びます。

頭・胸・指などにセンサーをつけて行う在宅PSG
ナイトグラフの装着例。メーカー提供画像(背景等を調整)。

家族と用意しておくと役立つメモ

就寝・起床の時刻、昼寝、いびきや呼吸停止に気づいた場面、日中の居眠りを数日分メモしてみましょう。薬の一覧、退院時の説明書、これまでの睡眠検査結果があれば、診療のつながりが分かりやすくなります。

録音や動画は本人の同意を得て、無理のない範囲で用意します。記録がなくても受診はできますし、録音だけで診断や重症度は決まりません。毎晩見張る必要はありません。家族が気づいたことを短く共有するだけでも役立ちます。

受診前に薬の一覧や検査結果をまとめる手元

治療は「続けられる形」を一緒に考える

CPAPが必要な場合も、片手でマスクを着けられるか、皮膚が痛くないか、夜間の介助と両立できるかなど、生活に合わせた調整が大切です。装着が難しいときは「使えなかった」で終わらせず、どの動作で困るかを伝えてください。圧の設定は自己判断で変えず、担当者と確認します。

脳卒中の主治医と睡眠診療の担当者が、治療内容や困りごとを共有できると相談が進みやすくなります。脳卒中の治療を続けながら、眠りの問題も一緒に扱う。そのための相談として、夜の呼吸や昼の眠気を伝えてください。

参考文献・詳しく確認したい方へ

本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。体調や服薬、運転を含む日常生活での注意は、担当医師にご相談ください。

下浦雄大

下浦 雄大

日本睡眠学会認定 総合専門医
日本医師会認定 産業医

RESM新東京スリープメディカルケアクリニック
副院長

📋 この記事の執筆者はコチラ

睡眠専門医が、あなたの「眠れない」に答えます。

山梨大学医学部卒業後、循環器内科での臨床経験を経て睡眠医療へ転身。現在はRESM新東京スリープメディカルケアクリニック副院長として、睡眠・循環器・産業医の3領域で診療中。いびき・睡眠時無呼吸や不眠症に加えて、「過眠症」や「概日リズム睡眠障害」の診療にも、科学的根拠にもとづいて取り組んでいます。


QRコードは読み取り・クリックのどちらでも開けます。

執筆・取材のお問い合わせ
RESM新東京スリープメディカルケアクリニック 副院長 下浦 雄大 | 日本睡眠学会認定総合専門医  日本医師会認定産業医

いびき・睡眠クリニック武蔵小杉|2027年春ころ開院予定

メニュー ☰