歯科で歯ぎしり用のマウスピースを作ったあと、「無呼吸にもマウスピースがある」と聞くと、同じものを使えるのか気になります。どちらも口に入れる装置ですが、目的は異なります。歯を守ることと、睡眠中の気道を保つことを分けて、相談の順番を確認しましょう。
歯ぎしりは、音がなくても起きる
歯ぎしり・食いしばりは、専門的にはブラキシズムと呼ばれます。眠っている間だけでなく、起きている間に上下の歯を強く接触させたり、あごに力を入れたりすることもあります。音を指摘されなくても、歯の摩耗や欠け、朝のあごのだるさから気づく場合があります。
軽いものは治療を要しないこともありますが、歯が欠ける、痛みが続く、口を開けにくい場合は歯科で相談してください。歯のすり減りだけで「今も毎晩強い歯ぎしりがある」と判断できるとは限らず、診察で経過を確認します。
背景にはストレスや生活習慣、薬など複数の要因が関わります。歯ぎしりがあるというだけで、睡眠時無呼吸とは決められません。反対に、いびきや息の途切れもあるなら、その情報を歯科にも伝える意味があります。
歯を守る装置と、気道を支える装置
歯ぎしり用のナイトガードは、主に歯や詰め物・かぶせ物を守るために使われます。歯科で状態やかみ合わせを確認して調整します。装置を入れれば歯ぎしり自体が必ずなくなる、というものではありません。
睡眠時無呼吸の口腔内装置で主に使うタイプは、下あごを前方に保ち、睡眠中の空気の通り道を確保します。無呼吸の評価に加え、歯ぐきや歯を支える組織、あごの状態などを確認し、使えるかどうかを判断します。

見た目や「マウスピース」という呼び名が似ていても、互いの代わりにはなりません。市販の歯ぎしり用装置を、自己判断で無呼吸の治療として使うことは避けましょう。今使っている装置が何の目的か、担当の歯科医に確認すると整理できます。
いびきや眠気もあるときは、二つの情報を共有する
歯科では歯・あごの症状を、睡眠の診察ではいびき、呼吸の停止、日中の眠気などを確認します。二か所を受診する場合は、装置の種類、使い始めた時期、検査結果を共有すると、歯の保護と夜の呼吸の両方を確認しやすくなります。
歯・あごの痛みや歯の欠けは歯科へ、いびきや息の途切れ、十分眠っても続く強い眠気は、かかりつけ医や睡眠外来へ相談できます。両方あるときは、今使っている装置の目的や名前を、双方に伝えてください。歯ぎしりがある方全員に、同じ睡眠検査が必要になるわけではありません。

診察では「音がするか」だけでなく、「いつから」「朝の痛みがあるか」「歯が欠けたか」「使っている装置があるか」を伝えます。処方薬を飲み始めた時期と重なる場合も、自己中止せず担当医へ知らせてください。
作って終わりではなく、目的に合う確認を
ナイトガードでは、歯の保護や痛み、装置のすり減りや、合っているかなどを歯科で確認します。無呼吸用の口腔内装置では、歯科での調整に加えて、装置を使った状態で呼吸が改善しているかを睡眠検査で評価します。
いびきが静かになったことだけで、無呼吸の治療効果を判断しません。あごの痛み、歯の違和感、かみ合わせの変化があれば我慢せず相談し、自己流で装置を削ったり位置を変えたりしないでください。
日中の食いしばりに気づいたときは、力が入る場面を振り返ることも役立ちます。まず、今困っているのは歯の傷みか、夜の呼吸か、両方か。そこを分けて伝えると、必要な相談につながりやすくなります。
参考文献・根拠と読み方
確認日:2026年10月21日。研究の対象・期間と、日本の診療との違いを踏まえて参照しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。体調や服薬、運転を含む日常生活での注意は、担当医師にご相談ください。




