不眠・睡眠薬・サプリ

市販の睡眠改善薬と処方薬、どう違う?

市販の睡眠改善薬と処方薬、どう違う?

眠れない夜が続くと、薬局で買えるものを試したくなることがあります。「病院の薬より弱いから気軽に使えるのでは」と思うかもしれません。けれど、選ぶときに大切なのは強さの順番より、何のために使う製品なのかです。処方薬やサプリとの違いを、箱の見方から整理します。

イチ坊
薬の聞き取りでは、処方薬の名前だけ確認すればよいですか?
下浦
市販薬もサプリも聞こう。箱の写真があると、同じ名前に見えても成分を確かめやすいよ。

まず、箱の「医薬品」と「食品」を見る

同じ睡眠関連の売り場でも、医薬品と食品が並んでいます。市販の睡眠改善薬の代表には、抗ヒスタミン成分のジフェンヒドラミンを含むものがあります。ヒスタミンは目を覚ましておく働きにも関わり、その働きを抑えることで眠気を生じます。

一方、処方される睡眠薬には、覚醒を支えるオレキシンの働きを抑える薬、体内時計に関わる薬など複数の種類があります。市販の睡眠改善薬と処方の睡眠薬は、対象となる症状や使用条件が異なります。サプリは食品であり、この二つとも区別して考えます。

薬と食品、確認する場所
薬と食品、確認する場所。市販の睡眠改善薬:一時的な不眠症状が対象:成分・年齢・注意事項を確認。処方薬:症状や病気に合わせて選択:効果と翌日の状態を診察で確認。サプリ・食品:医薬品とは別の区分:表示と対象者、根拠を確認。

箱の大きな商品名だけでなく、区分、成分名、使用上の注意を確認しましょう。同じブランド名でも医薬品と食品があるため、名前だけでは判断できません。

「今夜だけ」と「毎晩つらい」を分ける

ジフェンヒドラミンの睡眠改善薬は、寝つきが悪い、眠りが浅いといった一時的な不眠症状を対象にしています。長く続く不眠を、自分で買い足しながら治療するための薬ではありません。製品によって使用条件があるので、購入前に薬剤師や登録販売者へ相談してください。

たとえばドリエルは、日常的に不眠のある方や、不眠症と診断された方は服用しないよう指定されています。また、連用せず、2〜3回服用してもよくならなければ中止して相談します。これらはドリエルの使用条件です。別の製品では、その製品の説明書を確認してください。

寝つきだけでなく、日中の眠気や気分、いびき、脚のむずむず、生活時間のずれなども、診察では確認します。「薬を選び直す」以外の対応が役立つこともあります。

買う前に伝えたい、ほかの薬と翌日の予定

ジフェンヒドラミンを含む睡眠改善薬でも、翌朝の眠気やめまいに注意が必要です。起床時の頭重感や昼間の眠気、めまいなどが起こることがあります。ドリエルの添付文書(箱に入っている説明書)は、服用後の乗り物・機械の運転操作を禁止し、翌日まで眠気やだるさが続く場合も、症状が消えるまで運転しないよう示しています。「眠くないから運転できる」と自己判断せず、製品ごとの注意を守ってください。仕事や通勤で運転する方は、購入前に翌日の予定を伝えましょう。

かぜ薬、鼻炎薬、乗り物酔いの薬などにも抗ヒスタミン成分が含まれることがあります。ドリエルでは、ほかの催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬など併用できない薬が指定されています。成分名が違っていても一緒に使えるとは限らないため、箱やお薬手帳を薬剤師・登録販売者に見せて確認しましょう。服用前後の飲酒や、夜中の追加服用は避けてください。

相談に持っていく3つの情報
相談に持っていく3つの情報。使っているもの:処方薬・市販薬・サプリ:箱の写真とお薬手帳。体のこと:治療中の病気・妊娠・授乳:以前に困った副作用。翌日の予定:運転・機械の操作:眠気が残ると困る仕事。

ドリエルは15歳未満、妊娠中・妊娠の可能性がある方なども服用できません。授乳中は「服用しないか、服用する場合は授乳を避ける」とされています。自己判断で授乳を中断せず、使用前に医師や薬剤師へ相談してください。高齢の方、緑内障や排尿の困りごとがある方、治療中の方も事前の相談が必要です。ここに挙げたもの以外の条件もあるため、説明書全体を確認します。

眠れない日が続いたら、使ったものも相談の材料に

「市販薬を飲んだことを言いづらい」と遠慮する必要はありません。製品名、使った日、眠れたか、翌日に困ったことを伝えると、診療の手がかりになります。何時ごろ床に入り、起きたかという簡単なメモも役立ちます。

処方薬を使用中の方は、自己判断で市販薬へ置き換えたり、上乗せしたりしないでください。今の薬を急にやめることも避け、担当医と相談します。眠れない夜だけでなく、翌日をどう過ごせたかも一緒に伝えましょう。

不眠症の認知行動療法は、眠りの習慣や眠れないことへの考え方を整える治療です。薬以外の選択肢も含め、今の困りごとに合う方法を相談できます。

  • 購入する前:薬剤師・登録販売者に、薬の箱やお薬手帳、翌日の運転予定を伝える。
  • 不眠が繰り返すとき:かかりつけ医や睡眠外来に、使った製品名と日数、夜と翌日の状態を伝える。
参考文献・根拠と読み方

確認日:2026年10月22日。研究の対象・期間と、日本の診療との違いを踏まえて参照しています。製品の使用条件は最新の説明書を確認してください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。体調や服薬、運転を含む日常生活での注意は、担当医師にご相談ください。

下浦雄大

下浦 雄大

日本睡眠学会認定 総合専門医
日本医師会認定 産業医

RESM新東京スリープメディカルケアクリニック
副院長

📋 この記事の執筆者はコチラ

睡眠専門医が、あなたの「眠れない」に答えます。

山梨大学医学部卒業後、循環器内科での臨床経験を経て睡眠医療へ転身。現在はRESM新東京スリープメディカルケアクリニック副院長として、睡眠・循環器・産業医の3領域で診療中。いびき・睡眠時無呼吸や不眠症に加えて、「過眠症」や「概日リズム睡眠障害」の診療にも、科学的根拠にもとづいて取り組んでいます。


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RESM新東京スリープメディカルケアクリニック 副院長 下浦 雄大 | 日本睡眠学会認定総合専門医  日本医師会認定産業医

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