1.6時間以上を目安に、自分に必要な時間を確保する
成人版では、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが勧められています。6時間眠れば誰でも十分という意味ではありません。必要な時間は体質、年齢、日中の活動などで異なります。平日の短い睡眠、休日の長い睡眠、日中の眠気を並べて、自分の不足に気づくことが大切です。長く眠ろうとするだけでは解決しない場合もあるため、床に入っていた時間と実際に眠れた時間、目覚めた後の調子を合わせて見ます。
年代・ライフステージと眠り
同じ時間眠っても、すっきりする日と疲れが残る日があります。睡眠時間に加えて「眠って休めたか」を確かめると、見直すポイントが見えてきます。仕事や家事で眠る時間を取りづらい方も、今の一日から考えてみましょう。

睡眠ガイド2023から
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の成人版をもとに、生活で確かめたい点をまとめました。
成人版では、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが勧められています。6時間眠れば誰でも十分という意味ではありません。必要な時間は体質、年齢、日中の活動などで異なります。平日の短い睡眠、休日の長い睡眠、日中の眠気を並べて、自分の不足に気づくことが大切です。長く眠ろうとするだけでは解決しない場合もあるため、床に入っていた時間と実際に眠れた時間、目覚めた後の調子を合わせて見ます。
ガイドが重視する睡眠休養感は、睡眠によって休養がとれているという主観的な感覚です。寝つきがよい、途中で目覚めないということと完全に同じではありません。同じ睡眠時間でも、休めたと感じるかどうかは異なります。朝の疲れが残る、日中に集中しにくいといった困りごとも、眠りを振り返る手がかりです。時計や機器が示す時間だけで判断せず、自分の感覚も記録します。一方、休めた感じがあるから睡眠時間を削ってよいとは考えません。
短い睡眠や休養感の低さは、生活習慣病、心血管疾患、こころの健康などとの関連が研究されています。ガイドはこうした知見を踏まえ、睡眠の量と質の両方を見直すことを勧めています。ただし、観察研究の関連から、ある一晩の睡眠で病気になる、休養感を上げれば確実に予防できるとはいえません。持病や仕事、ストレスなども関わります。数字を達成することだけを目標にせず、慢性的な不足と続く不調を見つけて対応するために使います。

朝の光、規則的な食事、適度な運動は、一日のリズムを整える助けになります。夜は強い光や騒音、暑さ・寒さを減らし、落ち着ける寝室をつくります。夕方以降のカフェイン、喫煙、過度な飲酒も眠りを妨げることがあります。寝酒で一度は寝つけても、途中で目が覚めるなど睡眠の質が下がる場合があります。習慣は一度に全部変えず、遅いコーヒーや就寝前の作業など、実際に睡眠を圧迫しているものから見直します。
休日に長く眠ることが多い場合、平日の睡眠不足が隠れているかもしれません。休日の睡眠だけで、慢性的な不足による影響をすべて取り戻せるとは限りません。また、就寝と起床の時刻が大きくずれると、週明けの生活に戻りにくくなります。残業、通勤、家事や育児のために眠る機会が足りないときは、本人の工夫に加え、職場や家族との調整も必要です。就床時刻を早める余地を一日の予定から探し、無理なく続けられる変更を選びます。
睡眠時間を確保し、生活や環境を整えても休養感が乏しいときは、睡眠障害や身体の病気などが関係する場合があります。いびき・呼吸停止、脚の不快感、寝つけない・何度も目覚めるといった症状がないか確認します。服薬、痛み、気分の落ち込みも伝えたい情報です。夜勤など勤務による制約がある場合は、その時間帯も含めて相談します。休養感を気合いで高めようとせず、日中の支障が続くことを受診の手がかりにしましょう。
振り返りには、床に入った時刻、起床時刻、途中の目覚め、昼寝、朝の休養感を簡単に並べる方法が使えます。よく眠れた日とそうでない日に、残業、飲酒、食事、ストレスなどの違いがないか確かめます。記録を細かくつけること自体が負担なら、気になる点だけでも構いません。寝不足の原因が仕事量や介護にあるときは、寝室の改善だけに取り組んでも睡眠の機会は増えません。本人が変えられる点と、周囲に協力を頼みたい点を分けます。ガイドの目安は生活を振り返るためのもので、毎晩の達成を競う基準ではありません。眠りと日中の過ごしやすさが良くなっているかを、一緒に確認していきましょう。
ガイドが引用している研究から、睡眠休養感を確認する意味を見てみましょう。いずれも観察研究で、休養感を改善する治療の効果を直接比べた試験ではありません。
Kanekoら(2020)は、睡眠で休養がとれていると回答した人で、その後の心筋梗塞や脳卒中などの発症が少ないという関連を報告しました。
休養感は、診察で伝える価値のある情報です。ただし自己申告による評価で、保険診療の記録を用いた研究です。生活や健康状態の影響をすべて除けるわけではありません。
原著:Restfulness from sleep and subsequent cardiovascular diseaseYoshiikeら(2022)は、検査で測った睡眠時間・床上時間と休養感を組み合わせて分析しました。中年層の短い睡眠、高齢層の長い床上時間は、休養感が乏しい場合に死亡リスクとの関連がみられました。
中年層と高齢層では見方が異なります。「長く眠ればよい」「気分がよければ短くてよい」と一律には結論づけられません。
原著:睡眠休養感・睡眠時間・床上時間と死亡との関連研究の数値を自分の将来に当てはめるより、次のように普段の眠りと不調を記録すると、相談につなげやすくなります。
就床・起床時刻、実際に眠ったと思う時間、昼寝、朝の休めた感覚、日中の眠気を簡単に記録します。飲酒や遅い時間のカフェイン、残業なども添えると、調子との関係を相談しやすくなります。
記録は毎日正確に測ることより、繰り返す傾向を見つけるために使います。腕時計型の機器の点数だけで眠りの良し悪しを決めず、自分の困りごとも一緒に残しましょう。
帰宅から就寝までを書き出し、明日に回せる家事や、分担できる作業を一つ選びます。勤務が原因なら、勤務表と眠る時刻を産業医などに見せて相談します。
いびき、目覚め、脚の不快感、痛みなどを添えます。休養感が低いという記録に、原因を考える手がかりを加えましょう。
いびき・呼吸停止、十分眠っても続く強い眠気、眠れないことによる日中の支障があれば、かかりつけ医や睡眠外来へ。薬、痛み、気分の落ち込みなども伝えてください。
強い眠気があるときは運転を控え、原因を相談しましょう。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」成人版(冊子11〜14頁)、交替制勤務(42〜43頁)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や持病に合う対策、薬の変更は担当の医師にご相談ください。